

やさしさが注がれるひととき
やわらかな光が差しこむ和室。
母がゆっくりと急須を傾けます。
湯面からふわりと立ちのぼる香りに包まれながら、
そのすぐそばで、
少年は湯呑みに両手を添えて、
そっと母の顔を見上げています。
湯呑みが温かく満たされていくにつれて、
少年の心にもあたたかさが満ちていく。
言葉にしなくても伝わるもの。
そのぬくもりは決してこぼれない。
「注」という漢字には、
目を向けること、思いを向けること、
そして心を込めることという意味が宿っています。
お茶をそっと注ぐ所作の中に、
母から子へと向けられた
やさしい気持ちが息づいている。
相手のために“手をかける”という、
とても静かで、深いやさしさです。
水彩の淡い色彩と空気感は、
ほんのひとときの団らんを
未来へとそっと注ぎ続けるでしょう。
眺めるたびに、
忘れていた小さな思いやりを
そっと思い出させてくれる一枚です。