夕暮れの光が、障子を透かして部屋に差し込む。
広げられた一枚の絹。
そこに生まれようとしているのは、
山でも、水でもない。
まだ形にならない、
心の奥の景色。
筆は、何かを写すためにあるのではない。
まだ存在していないものを、
そっとこの世に呼び出すためにある。
「画」とは、
区切ること。
そして、
世界を枠の中に置き直すこと。
外の山々と、
内なる山々が、
一枚の絵の中で重なっていく。
この絵に描かれているのは、
風景ではなく、
創るという祈り。
静かに、確かに、
世界はここから生まれている。