桜の花びらが舞う春の朝。
小さな背中は今日、はじめて母の手から離れる。
小さな手は、
これから始まる新しい世界へ一歩踏み出すために。
大きな手は、
背中を優しく押してあげるために。
離れてしまうその瞬間、
ふたりの指先はまだ
温度を確かめるように触れ合っている。
桜の花びらが舞う道で、
幼い手のぬくもりが
そっと指先だけになっていく。
不安と期待を胸に乗り込む園バス。
その入り口で待つ先生の笑顔は、
「だいじょうぶ。」と
静かに励ましてくれる。
振り返ったまま、
一歩だけ前へ進む勇気。
その小さな瞳には、
不安と期待がいっしょに揺れている。
――春は別れと始まりの季節。
母は笑顔で背中を押しながら、
離れていく指先に
言葉にならない想いを託す。
「行ってらっしゃい」
この一言に込められた
願いと祈りと愛情。
風にほどけていく手と手は、
離れてもちゃんと
心でつながっている。
この一枚は、
親子の想いが交差する一瞬を
そっと閉じ込め、
新しい一歩を踏み出す
すべての小さな勇気に、
そっと寄り添う一枚です。